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青い海の中でサンゴ礁の上を泳h
Jack, 2021 / Urasoko Bay

しらべる サンゴ礁

動物のサンゴは、光をどう利用している?

褐虫藻との共生と、光に応じて育つ体

un-0067 公開:

サンゴは、口と触手をもち、獲物を食べる動物です。第1回「サンゴは、どんな動物なのだろう?」では、その小さな体の暮らしを見てきました。

ところが、浅いサンゴ礁にすむサンゴの多くは、海に差し込む太陽の光にも支えられています。動物のサンゴにとって、光はどんな役割をもっているのでしょうか。[1]

ポリプの細胞の中にいる生きもの

サンゴの体の中には、「褐虫藻(かっちゅうそう)」と呼ばれる藻のなかまがすんでいます。一つの細胞からなる、目に見えないほど小さな生きものです。[2]

そのすみかは、ポリプの体をつくる細胞の中です。小さなポリプをさらに拡大して見ると、動物の細胞の中に、別の生きものが暮らしています。[2]

褐虫藻が入った細胞のようにみえるエダサンゴの先端部分Akira , 2019 / Urasoko Bay
拡大するとポリプの一部が色づいて見える。褐虫藻が入った細胞かもしれない

褐虫藻は、二酸化炭素と水を材料に、光のエネルギーを使って糖などの有機物をつくります。この働きが「光合成」です。[1]

つくられた有機物の一部はサンゴへ渡され、生きるためのエネルギー源や、体をつくる材料として使われます。サンゴは、細胞の中で暮らす褐虫藻から栄養を受け取ることで、光を暮らしに取り入れているのです。[1]

褐虫藻と共生するサンゴが、光の届く浅い海に多く見られるのは、このためです。ただし、光が届く深さは海の透明度などによって違い、より深い場所で暮らすものもいます。[1][5]

褐虫藻からサンゴに栄養が渡される様子を示した画像

栄養を受け取ることと、食べること

褐虫藻の側にも、サンゴと暮らす利点があります。サンゴの体内はすみかになり、サンゴが呼吸で出す二酸化炭素なども、褐虫藻の光合成に使われます。このように、異なる生きものが深く関わり合って暮らす関係を「共生(きょうせい)」と呼びます。[1]

では、褐虫藻から栄養を受け取れるサンゴは、もう獲物を食べなくてもよいのでしょうか。

褐虫藻と共生するサンゴも、触手を使ってプランクトンなどを捕らえ、食べています。体内の藻から受け取る栄養と、自分で食べて得る栄養の両方が、暮らしを支えています。[3]

目に見える触手の働きと、細胞の中にいる藻の光合成。同じポリプの体では、この二つのしくみが働いています。

光は、育つ向きにも関わる

日高道雄さんの論文には、アザミサンゴを使った実験が紹介されています。群体から切り離したポリプを飼育し、そこから新しく生まれた若いポリプの成長を調べたものです。[4]

光を当てる方向を変えると、若いポリプは新しい光の方向へ曲がりながら、骨格を伸ばしました。曲がりの外側になる部分は、内側よりも長く伸びます。この実験で速く伸びたのは、外側にあたる、光の当たらない側の骨格でした。[4]

「明るい側で褐虫藻の光合成が盛んになり、その側がよく育った」という考え方だけでは、この曲がり方を説明できません。日高さんは、サンゴ自身が光を感じ、骨格を伸ばす速さを場所ごとに調整している可能性を考えました。[4]

褐虫藻が光合成でつくる栄養を受け取ること。そして、アザミサンゴの実験で見られたように、サンゴ自身が光に応じて育つこと。光との関わりは、栄養を得ることから、体の育ち方へと広がります。

では、光を受けたことが、どのように育つ向きの変化につながるのでしょうか。日高さんの論文には、その詳しいしくみなど、まだ答えの出ていない問いも残されています。[4]

次の記事では のかを見ていきます。

出典(調べるのに使った本や資料 ─ 5件)
  1. NOAA Ocean Service「What is Zooxanthellae?」— 褐虫藻の光合成、サンゴとの物質のやり取り、成長との関係。
  2. 沖縄科学技術大学院大学(OIST)「サンゴの細胞が褐虫藻を飲み込んだ瞬間を観察」(2021年7月14日)— 褐虫藻が一つの細胞からなる藻であり、サンゴの細胞内で暮らすことを説明する日本語の研究紹介。
  3. NOAA Coral Disease & Health Consortium「Coral Polyp Anatomy」— 触手で食べものを捕らえることと、共生藻から栄養を得ること。
  4. 日高道雄「群体サンゴの形態形成と自他認識に関する話題」『日本サンゴ礁学会誌』25巻1号、27–44頁(2023)、特に27〜29頁・図3 — アザミサンゴの若いポリプが光の方向へ曲がりながら成長する実験と、その解釈。
  5. NOAA National Centers for Coastal Ocean Science「Mesophotic Coral Ecosystems」— 光に依存するサンゴの生態系が、浅い海からより深い場所へも広がること。

リンクの確認日 : 2026-10-24

文・内藤明
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