
産卵(さんらん / coral spawning)とは、多くのサンゴが同じ夜に、いっせいに卵と精子を海へ放つことです。年に一度、水温と月の満ち欠けに合わせて起こります。
一番上の写真は、カヌーから降りて、産卵が始まったか調べるユニスクのスタッフ。写真に見える小さな粒が新たな生命です。
くわしく
サンゴは一生のあいだ、ほとんど動きません。それなら、どうやって相手と出会い、子どもを残すのでしょうか。動かない生きものは交尾ができないように思えます。
それを解決するために、サンゴは自分が動いて相手を探すのでなく、卵と精子のほうを海へ送り出して、出会わせるのです。決まった夜になると、たくさんのポリプがいっせいに卵と精子の入った小さな粒(バンドル)を放ちます。粒は海面へゆっくりのぼり、そこでほどけて、他の卵と精子と出会います。動かない体のまま、海の流れを使って相手を見つけているのです。
このとき海面は、うすいピンクや黄色の粒でいちめんに埋まります。同じ入り江のサンゴが、示し合わせたように同じ夜に放つからです。八重山の海では、初夏の満月の前後、水温が上がってくるころに起こることが多く知られています。ただし年や場所によってずれるため、その夜をぴたりと当てるのはむずかしく、長く海に通う人でも「今年は逃した」ということがあります。

「サンゴはいっせいに産卵する」というのは昔からよく知られ、テレビや本でも必ず紹介されます。けれども海で長く働く漁師やダイバーは、その夜からずれて放つサンゴを各地で見てきました。同じ夜にそろうものもいれば、そうでないものもいる——まだわかっていないことは多く、それをいま調べている研究者もいます。
こうして受精した卵は、やがて自分で泳ぐプラヌラ幼生になります。一生動かないと思われているサンゴにも、海を漂って移動するこの時期があります。産卵は、サンゴが親と違う遺伝子を持つ子を残す有性生殖の入り口にあたります。
関連する用語
- 有性生殖 — 卵と精子から親と異なる子ができる増え方。産卵はその始まり
- プラヌラ幼生 — 受精卵から育つ、泳いで移動できるサンゴの子ども
- ポリプ — 卵と精子を放つサンゴの体の単位
出典(調べるのに使った本や資料)
1.
コメント